ものづくりのまちではない和歌山で体験する観光・クラフトツーリズム

とつぜんですが、「和歌山」といえば何を思い浮かべますか・・・??

 

 

たとえばGoogleで画像検索をしてみると、こんな感じです。

観光(高野山や熊野古道)、パンダ、みかんをはじめとするフルーツ・・・
この記事を読んでいるあなたの頭の中に浮かぶイメージも、だいたいこういう感じではないでしょうか?

そんな和歌山では2023年春現在、コロナ禍が少しずつ落ち着いて、以前のように海外からの観光客を見かけることも増えてきました。
2025年の大阪・関西万博に向けて、関西国際空港に近い和歌山ではインバウンドも盛り上がってきそうな気がします。

記事を書いているキクイシザースは、そんな「観光のまち・和歌山」で美容師さんのハサミを作っています。
「観光」と縁がなさそうなものづくりの小さな会社ですが、そんな弊社でも先日、フランスから来たスタディツアーの団体旅行客を工場見学にご案内しました。
「海外の人がちょっとずつ戻ってきたなー」と思っていましたが、まさか海外からの工場見学ツアーを受け入れる機会があるとは思いませんでした!

今回の記事ではハサミ工房にお越しいただいたフランス人の皆さまのようすと、改めて考えた「ものづくり」体験の価値についてお話しします。
また、弊社の工房見学についても紹介しますので、最後までぜひお読みください。

言葉の壁を越えて、ものづくりの価値を伝えるということ

工場見学ツアーのきっかけは、スタディツアーをアテンドされている通訳さんからのご連絡。
「和歌山で工場見学やものづくりを見せてもらえる会社を探しているのだけど、菊井さんのハサミづくりを見学させてもらえないか?」

正直よく分からずに、2~3人程度かなと思って「いいですよ」と引き受けたら、なんとツアーで来られている10名のお客さま!
弊社のような少人数の職人でものづくりをしている工房で海外ツアーのお客さまが10名来られると、それはもうワチャワチャ・・・
私たちが作っているのはプロフェッショナルのための道具なので、きちんと伝わるだろうかと心配でしたが、工場で作っているところを実際に見ていただき、ハサミの説明も詳しくさせていただきました。

結果、とても喜んでいただけた様子で、言葉を超えて私たちのものづくりが伝わりました!

ものづくりの体験を、ものづくりの現場でも。

せっかく見ていただいたので、「やってみたい!」と言っていただいた学生さんに体験ワークショップに挑戦いただきました。
私たちが普段使っているハサミの仕上げ叩きのハンマーを手に持ち、アルミの丸棒をひたすら叩いてキーホルダーを作るというものづくり体験。
さすがにハサミに使う硬い材料ではなく加工しやすいアルミで体験してもらうのですが、「ホンモノの道具」に触れながら体験することで職人気分をたっぷり味わってもらいました。

この体験ワークショップ、これまで日本工芸産地博覧会和歌山ものづくり文化祭でも出展して、毎回大人気の体験なのですが、実際にものづくりの現場で触れていただく事で、言葉が通じなくても「見て」「体験して」ハサミ作りの奥深さに触れてもらえたんじゃないかと思います。

和歌山の工房が感じた、クラフトツーリズム・産業観光の可能性

冒頭に話したように、和歌山は「ものづくりのまち」ではありません。
でも、その和歌山でも「ものづくりを見たい」というツアー旅行客が来てくれるといった実体験を通じて、改めて観光コンテンツとしての「ものづくり」について考えるきっかけになりました。

そんなことを考えていると、先日「メタ観光」の研究をされている方と話をする機会がありました。
コロナ禍を乗り越えて万博が目前に迫って、観光の価値そのものが「名所に行ってグルメを楽しむ」というものから、もっと奥まで入り込んだその土地の生活や風土を知るための、原色に近い体験に変わってくるのかもしれません。
その「原色体験」のひとつとして、日本が世界に誇るものづくり・工芸といったものを肌で感じるクラフトツーリズムだって、ひとつの観光コンテンツになりうるんじゃないか。
あと2年後には、各地の町工場に世界中のお客さんが遊びに来る、なんてことがあるかもしれません。

フランスから届いたお礼のDMの笑顔を見ながらそんな夢に思いを馳せ、自分たちのものづくりの未来にちょっとワクワクできた貴重な体験でした。

工場見学・ものづくり体験(要予約)のご案内はこちら

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